『おおきな木』

今日は大人向けの絵本です。

 

あすなろ書房(2010)

作 シェル シルヴァスタイン  訳 村上 春樹

私的推奨年齢 大人

絵のタッチ 黒の線で描かれたシンプルな絵

表紙以外はすべて黒い線のみで描かれています。すごくシンプル。だからこそ物語がすーっと入ってくる。

ストーリー 大きな木と少年の歴史

小さい少年は大きな木が大好きで、木登りをしたりして、いつも一緒に遊んでいました。しかし少し大きくなると少年は木から遠ざかっていき、たまに木のもとにやってきては様々な要求をします。「もう木登りなんてしないよ。お金が欲しいんだ」と言われれば、売るためのリンゴの実を、「家を建てたいんだ」と言われれば枝を、「遠くに行くための船が欲しい」と言われればその幹を差し出します。最後少年は年老いて木のもとに戻ってきて…。村上春樹さんの和訳も美しい1冊です。

 

この本は読む人によって本当に受け取り方が様々だと思います。ご両親との関係に心理的負担のある方は閲覧注意かもしれません。私は両親が共働きで母との相性があまりよくない子どもだったので、ほとんど祖母に育てられました。祖母は自己実現とか自分らしい人生なんてことは考えもせず、家族のために、子どもや孫たちのために生きてきた人なので、少年のために自らを与えつくす大きな木と重なりました。無償の愛を注いでくれる人が自分にもいたからここまで大きくなれたんだな、と改めて気づいて感動しました。私自身は未熟で怒りんぼで100%子どものためには生きられない母なので大きな木に自分を重ねることはできせんが、人によっては大きな木とご自分が重なることもあるでしょう。私もこの木のように、成長とともに離れていくだろう子どもたちを受け入れ、見守れる母になりたいと思います。

 

子どもたちよりも大人にこそ読んでほしい1冊です!

 

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